今年のSKOがすごかった話

こんにちは。

新留です。

日曜日のこと。

卒業生の所属するSKO(スーパーキッズ・オーケストラ)の演奏会に行ってきました。

佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ2023

https://hpac-orc.jp/sko/

人気なのもあるのか、今年は午前、午後の2回公演。

当日は2000人×2公演で4000人近くの人が集まっていたようで、すごい熱気でした。

僕や家族にとっても夏の恒例行事のようになっており、毎回、元気をもらっているのですが、

今年は、コロナによる練習の制限なども少なくなったからか、みんなの団結力の高さか、

去年以上に、熱量の高さ、技術の高さを感じ、終わった後、「いや〜めっちゃよかった〜」と自然と声に出ていました。

会場の一体感も高く、改めて、音楽のすごさ、すばらしさを感じました。

そして、卒業生の子も、

今年は2000人のお客さんの前で、3人だけで演奏をするというすごいことを堂々とやり遂げていて、本当に尊敬しました……。

同窓会で会ったときなどは、昔と変わらず、しょうもないことを言ったり、しているのに(全然変わっていないなと感じます笑)、

ここぞというときの集中力やパフォーマンスのすごさ。

子どもたちの成長って、ほんとにこちらが予想できないくらいですね^^

さて、SKOでは曲目の間に、オーケストラのメンバーや佐渡裕さんが話をするのですが、その話を聞いていると、

普段は海外にいて公演のためだけに帰ってきたり、

卒業後、芸大に進んだり、海外に留学したり、コンクールで賞をとったりと、本当に才能豊かな子たちが集まる場所であり、才能を育む場所でもあるのだなと感じます。

そして、先生と環境って大事だなというのをいつも感じます。

SKOの子たちが話しているのを聞いていると、

「他のみんなのおかげ」という謙虚な言葉や「感謝」、「何回も諦めなかった」というような言葉がよく出てくるのですが、

佐渡さんといると元気が出る、時には厳しい言葉もあるけれども、そこには愛情がある。

助けてくれたり、高めあう仲間がいて、いろんなことができるようになっていく。

きっと、そういう環境の中で、みんなは幸福感を感じているし、能力的にも、人間的にも成長もしていくんだなと感じました。

そして、佐渡裕さんがいつもみんなにいう言葉に、

「才能と努力と運は足し算、これに感謝力というかけ算があれば奇跡が起こる」(たしか、こんな感じです)

という言葉があるそうなのですが、

この「感謝」というのも、幸福感を高める方法の一つだったりします。

何度も何度もオーディションに落ちて数年越しにやっとSKOに入れた子もいるし、

何度も何度もオーディションに挑戦し、ソロやアンサンブルに選ばれた子もいる。

そういうなかで「謙虚さ」や「粘り強さ」、「やり抜く力」も育まれていきます。

そんな才能を育んでいく場所になるため、

いちばん大事なのは、「ポジティブな感情」。

普段からかけている言葉への意識というのが大切になってきます。

人って「無意識に受ける刺激」にコントロールされていて、

例えば、全然知らない人が通りがかりに「無理だよ」「失敗する」ということを耳にするだけでも自制心が弱まったりすることがわかっているのですね。

SKOのすばらしい子たちや演奏を見て、

RAKUTOに通ってくれている子たちがこれからもたくさんの奇跡を起こしていけるよう、やっていきたいなと思いました。

よかったら、参考にしてみてくださいね。

そして、ぜひ、機会があれば、SKO見に行ってみてくださいね。

ほんとにみんな小学生、中学生、高校生!?と、びっくりします(笑)

https://hpac-orc.jp/sko/

ではでは、また。

自己信頼の育て方

こんにちは。

新留です。

子どもたちから学校始まるのイヤだ〜という声をたくさん聞いた今週でした^^

夏期講習の残った課題や、やったものは見るよ〜と言っていると、これ見て!と持ってきてくれた子もいたり、

朝から夜まで受けていた子からは「2時間なんて余裕……」というドヤ顔も見られました(笑)

低学年の子たちでも朝から夜までの子は6時間、7時間、

受験生の子だと、それプラス、残って勉強している子もいて、よくがんばっているなと頭が下がりました。

といっても、休憩時間はみんなで目一杯遊んでいたのですが……体力にも感心です^^

よくがんばったなというのは感じたところですが、がんばっていた子たちもいい顔をしていたのが印象的でした。

きっと、がんばった自分に充実感や手応えなどを感じていたというのもあるのでしょうね。

そうやって、自分のなかの手応えを感じていくことって大事です。

幸せそうに見えて不幸な人もいれば、

不幸そうに見えて幸せな人もいるように、

大事なのは「どう見られるか?」ではなく、「自分がどう感じるのか」なのですよね。

「やった」、「やりきった」と自分で感じられるのは大きな力となります。

「自己効力感」

自分はやればできるようになるという感覚や体感、経験からできる感覚は、自分への信頼を育て、物事を達成していく際に必要な「やり抜く力」や「自制心」につながっていきます。

今までに自分ができるようになったという経験や、

自分はやればできるようになるという感覚、自己信頼がなければ、

ビギナーズ・ラック的などんどん成長していく時期の後、なかなか結果が出ないような時期に、

「まだ、できるようになっていないだけ」と思い、

目標のためにブレずに努力し続けることや、目標のために何かを抑えるということができないのですよね。

コロンビア大学心理学教授だったウォルター・ミシェルさんは、

「幼いころに成功体験や自己効力感を自覚する体験をした人は、その後、根気強く目標を追求し、成功に対する楽観的な見通しを育み、成長の過程で避けられない挫折や失敗や誘惑に対する意欲や能力が高まる」

と言います。

子どもたちが、この夏の体験や経験、学びを通じて、学ぶことを楽しいと思えるようになったら、そして、自分はできるようになるんだ、と感じられるようになったらいいなと思います^^

すごくいい作品ができました!

やり抜く力を伸ばすには?

こんにちは。

新留です。

金曜日の「思考養成クラス」は、

「新聞」と「作文」を完成させる日でした。

いろんな新聞から自分が興味を持った記事を選び、調べ、まとめ、新聞にし、

作文では天声人語にまつわる200字作文を「10分ライティング」しました。

時間が来たら回収!

「全然書けてない」

「まだ書きたいな」

と思っていても、提出!

「これは自信作!」となる子もいれば、

「こんなんじゃ、いやだ〜」

「もっとやっておけばよかった。。。」

となる子もいますが、

そこでやってみる経験で、

「自分はこういうタイプなんだな」

「スタートを早くしよう」

「次はこうしよう」

と学んでいったりします。

アンジェラ・ダックワースが『GRIT』の中に書いていますが、

「やり抜く力を伸ばすには、最後までやる習慣を身につけること」

頭の中で考えるというのは、

いくらでもごまかす事ができますし、

書くことで、

形にすることで、

初めて評価される土台に立ち、

改善のためのフィードバックが受けられるようになります。

子どもたちは今回もいろんな感情を味わったかと思いますが、

少しずつ、

「完了させる力」、「やり抜く力」を伸ばしていってもらえたらなと思います^^

春期講習2023のお知らせ

ただ知識を覚えるのではなく、

「なんでだろう?」

と仮説を立て、ディスカッション!

学んだことを実際につくってみて、

体感的に学んでいくから楽しいし、

記憶にも残るRAKUTOの季節講習。

学ぶことが好きに、

そして、どんな時代でも自分で学んでいける子になるために。

そのためには、

勉強の始め方、学び方……

いい種のまき方が大切。

今回の季節講習は、

国語、算数、理科の3教科で開催します!

「勉強って楽しい!」

そんないいスタートの春になりますように^^

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※お申し込みは申し込みフォームよりメールにてお申し込みください(24時間受付中)

(学年など必要事項をご記入の上、お問い合わせ欄に「春期講習」と「ご希望の日程(A日程、B日程)、教科(国語、算数、理科)」をご記入ください)

※円滑なやりとりのため、メールでのお申し込みのみとなっております。ご質問などもお気軽にお寄せください

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※A日程、B日程ともに同じ内容となっております

※「どの教科を受講したら?」と気になった際はご相談ください

※高学年講座の時間割は別途ご連絡させていただいております

※お昼を挟んで受講される方は教室で昼食をとることができます

※春期講習期間中、通常授業はお休みです

【対象】

小学校全学年

【受講料(1教科:60分×4コマ】

RAKUTO生11,000円(税込)

一般生13,200円(税込)

※別途、各教科教材費として1,650円(税込)がかかります

※高学年講座は教材費が異なります

【お申込方法】

申し込みフォームよりメールにてお申し込みください(24時間受付中)

(学年など必要事項をご記入の上、お問い合わせ欄に「春期講習」と「ご希望の日程(A日程、B日程)、教科(国語、算数、理科)」をご記入ください)

※円滑なやりとりのため、メールでのお申し込みのみとなっております

【お申し込み後の講座キャンセルについて】

お席の確保と教材の準備がございますので、お申し込み後のキャンセルはご容赦くださいませ。

キャンセルの際の料金は以下のようになります。

開催1週間前〜2日前まで:テキスト・教材費を頂戴いたします。

前日・当日のキャンセル:受講料、テキスト・教材費全額を頂戴いたします。

【お問い合わせ】

・気になる点、ご不明な点などございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお寄せください。

お問い合わせフォーム

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「知るって楽しい。考えるって面白い。そして、できるようになるってうれしい」

そんな春になりますように!

「合っていること」と「やらされること」

こんにちは。

新留です。

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まもなく、RAKUTOの春期講習の募集を開始します!

今年は3/29,30のA日程、3/31.4/1のB日程の2つの日程になります。

今回は、国語「言葉力のアップ」、算数「規則性と周期性」、理科「電気の不思議」の3講座です。

(読解力や中学受験のための高学年用講座もございます)

お楽しみに!

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このところ、2,3年生の保護者さまから問い合わせや体験などをよくいただいています。

RAKUTOでいうと、ホップクラスやステップAクラスという時期(その子に今、合ったクラスというのは違いますので大体ですが)。

ホップクラスからステップAクラスへの慣れというのが子どもたちが体感する壁の一つだったりするのですが、

大きく成長する時期であり、つまづきやすい時期でもあるのですよね。

年中さん、年長さんから通っている子たちなどはステップAクラスには早ければ新3年生から入ったりしますが、

ちょうど2、3年生というと思考の発達段階でいう「具体的操作期」。

目に見える具体的な物を使って理解し学んでいく時期であり、

抽象的なことを学び出したりするのに、まだ発達段階的には難しかったりと、「合っていること」と「やること」にズレがあったりするのですよね。

ですので、理解にも、すんなりできる子と、なかなか体感として理解できなく気持ち的に「わからない〜」とネガティブになってしまう子が出てきます。

視覚的な子や、言語にあまり興味がない子、語彙が少ない子などだと特にその傾向が強くなったりします。

段々と、自分の頭で考え、自分で学べるようになってきますが、やり方を間違ったり、早くから難しいことをやったりしちゃうと、

ネガティブなことにもなったりします。

才能に頼ってきた子なども苦労したりますが、ここで腐らずに、粘り強さなども身につけていくことが大事だったります。

みんな成長の時期や強みというのはちがうので、その子らしさを尊重したやり方でやっていってあげたいなと思います^^

「逃げ恥」と「呪い」の話

こんにちは。

新留です。

Netflixに『逃げ恥』(逃げるは恥だが役に立つ)があるのを知り、先々週くらいからコツコツと見始め、ようやく、昨日、スペシャルまで見終わりました。

『逃げ恥』というと、社会現象になっているときはまったく見ておらず、
(テレビがない生活を10年以上続けていたので)

2020年の年末ごろにAmazonプライムかどこかに出てきたのを目にして、たまたま見て、どハマりしてしまいました。

2021年のお正月のスペシャルが見たい、テレビがない、ああ、どうしよう……となり、『逃げ恥』を見るために10年ぶりくらいに漫画喫茶に行くぐらいに……(笑)

当時は本編で毎話泣いていましたが、

ひさしぶりに見ると、

当時は社会問題を盛り込みすぎてお腹いっぱいだなと感じたスペシャル版がすごく今の自分に響き、見終わった後、

「いや、よかった……」

「ほんまに、よかった……」

とブツブツ言っていました(笑)

ドラマや小説など、自分のライフステージなどによって、響くところが変わるのがおもしろいですね。

そんな大好きな『逃げ恥』なのですが、

その中で、アラフィフで仕事をバリバリしている独身の石田ゆり子さんが、自分に突っかかってくる若い女性に言うセリフがあります。

私たちの周りにはね、たくさんの呪いがあるの。
あなたが感じているのも、そのひとつ。
自分に呪いをかけないで。
そんな恐ろしい呪いからは、さっさと逃げてしまいなさい。

これは嫉妬し、「若さ」に価値を見出す女性に向けたセリフですが、

こういう「呪い」というのは、教育業界でも、まわりにたくさんあるなと思います。

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「いついつが大事な時期」

「急がないと間に合わない」

「もう、みんなは始めている」

「なになにちゃんはもうこんなことをしている、できるようになっている」

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でも、それって本当なのでしょうか?

そうじゃなきゃダメだったり、ムリなのでしょうか?

そういうことを話すときって、

その子自身のことを見ているのではなかったりするのですよね。

人にはそれぞれ才能の形も、学びやすい形も、伸びる時期もあります。

競争社会に生きていると、自然と比べるようになってしまいますが、

比べるというのは、落ち込むためのシステムで、

比べるときというのは、基本的に落ち込むために比べているのですよね。

そして、その世界にどっぷり浸かっていると、

安心や安全のなかでいることが難しかったり、

無意識に、落ち込むための情報集めに走ったりします。

「比べる」って、基本、「落ち込む」や「不安」とセット。

例えば、

僕のような状況だと、

平匡さんと比べて、

星野源さんと比べて、

風見さん(イケメン役の大谷亮平さん)と比べて……

というような感じだと落ち込むに決まっています(笑)

なぜか、比べるときって、

石田ゆり子さんと比べて、

ガッキーと比べて……という風には比べないのです。

属性があまりに違うので。

『逃げ恥』を見ながら、まわりにある呪いについて、何だか考えさせられ、

誰かと比べてどれぐらい賢いか? ではなく、

その子はどんな風に賢いか?

そういう視点で、これからもやっていきたいなと思ったのでした^^

読んでほしい文章

こんにちは。

新留です。

中学受験の時期も終わり、2月からの新年度クラスに向けて準備の時期になっています。

1月末が切り替えの時期なので、ほとんどの6年生は卒業の時期です。

(兄弟いるし、来るよ〜と言ってくれているのがうれしいですが^^)

最後に向けて、国語の授業のなかで、子どもたちに読んでおいてほしい何かいい文章はないかなと、中学受験で出題された過去問を調べていたところ、

2022年の関西大倉中学で、佐渡島庸平さんの『ぼくらの仮説が世界をつくる』が。

佐渡島さんといえば、『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』、安野モヨコさんの『働きマン」や、スラムダンクの井上雄彦さんの『バガボンド』などの編集を担当されていた方で、著書を2015年に発売。

発売当時、今年読んで1番読んでよかった本なのでは? と思った記憶にある本でした。

中身を見ていくと、まさに子どもたちに知っておいてほしい内容。

ということで、授業の中で読むことにしました。

その中には2つの目標の話が。

「理想的な目標」と「毎日絶対にできる目標」の2つをつくるというものです。

例えば、

「毎日、語彙力の本の見開き2ページ分を覚える」という目標と、「毎日、語彙力の本を開く」というようなもの。

佐渡島さんはその文章のなかで、毎日ちょっとだけでもやること、毎日続けることの大切さを書いていました。

キンダークラス、ホップクラスで語彙力や能力的なものを磨いていくと、「センス」というのは身につきます。他の子たちより、早く学ぶこともできるようになります。

でも、残念ながら、どんなにセンスがあっても、

脳に合った考え方や学び方を知っていても、

やらなければ、続けることができなければ、何かを自分のものにすることはできません。

「今日だけ」、「明日からやる」ということは多いですが、

多くの心理学者が言っているように、

「意志力」というのは当てにならず、人間は、自分の失敗には甘く、今度はうまくやれると過信しがち。

「サボる」というのはクセになるんですよね。

(ものすごく、わかります苦笑)

何かをするのも、まずはちょっとやってみることから。

そして、ちょっとずつでも続けていくことが大事。

子どもたちが、自分にとって大事なことを、粘り強く、やり抜けるように。

そして、授業をきっかけに、授業で磨いた読解力を武器に、

素敵な本や、影響を受けるような本にたくさん出会え、いい影響を受けていってもらえたらいいなと思います^^

6年生の女の子たちからの誕生日プレゼント。なんてやさしい子たちなのでしょう…( ; ; )

自己肯定感より大事なもの

こんにちは。

新留です。

7月からジムに通い始めたのですが、ただいま猛烈な筋肉痛に悩まされています。

野球のダルビッシュ選手が好きなのですが、ひさしぶりにインタビュー記事などを読んで影響を受けたのでしょうか。

映画館でアクション映画や任侠映画を見て、帰りに強くなった気分になるような感じでお恥ずかしい限りです。。。

さて、夏期講習が終わり少し経ちましたが、暑かった夏を超え、いい変化を見せているなと感じる子たちがいます。

高学年になると、目的に合わせた「量」の練習が必要になってきたりしますが、できたできなかったかではなく、それをしっかりとやり遂げた子というのは、

実力の変化はもちろんですが、「小さな自信」のようなものを感じるのですよね。

大変だなと思いつつもがんばった自分に、充実感や手応えなど感じているのかなと思います。

そうやって、自分のなかの手応えを感じていくことって大事です。

不幸そうに見えて幸せな人もいれば、

幸せそうに見えて不幸な人もいたりするように、

大事なのはどう見られるか? ではなく、自分がどう感じるのか、なのですよね。

「自己肯定感」が大事とよく言われますし、実際に、書店などを見て回ると、自己肯定感を上げることをうたった本などもたくさん見られます。

ただ、「自己肯定感」というのは微妙で、それらは実際には、自己肯定感に似たナルシストをつくっていってしまうこともあります。

自己肯定感を高くしようということは、やらない人になる怖れ、やらないのにできると思っている「意識だけ高い系」になる怖れがあるのですね。

実際に、1980年代に海外で「自尊心運動」、たくさんほめて、子どもの自己肯定感を上げていこうという流れが起こったことがあります。

どうなったかというと、子どもたちの成績は「下がった」のです。

自己肯定感をまちがって身につけてしまった子は、できないことや課題に向き合った時に、

「これ好きじゃない」

「飽きた」

「こんなことやっても意味がない」

というようなことを言ったりします。

これはたしかにそういう時もあるかもしれませんが、実は「できない自分」に向き合いたくないので、自己防衛に走っているだけということもあるのですね。

筋肉をつけようと思ったら、今持っている100の力を超えた「101」以上の負荷をかけなくてはいけないように、

それでは、能力を伸ばしていくことや、何かを身につけていくことは難しいでしょうし、本当の自信もついていきません。 

自己肯定感よりも大事なのは「自己効力感」、自分はやればできるようになるという感覚と体感、経験なのですよね。

そして、「自己効力感」は、数年前から注目されるようになった「非認知能力」、物事を達成していく際に必要な「やり抜く力」や「自制心」につながっていきます。

今までに自分ができるようになったという経験や、自分はやればできるようになるという感覚がなければ、目標のためにブレずに努力し続けることや、目標のために何かを抑えるということができません。

コロンビア大学心理学教授だったウォルター・ミシェルさんは、

「幼いころに成功体験や自己効力感を自覚する体験をした人は、その後、根気強く目標を追求し、成功に対する楽観的な見通しを育み、成長の過程で避けられない挫折や失敗や誘惑に対する意欲や能力が高まる」

と言いますが、

子どもたちがこの夏の経験を通じて、学ぶことを楽しいと思えるようになったら、

そして、自分はできるようになるんだ、と感じられるようになったらいいなと思います。

「やり抜く力」や「自制心」などの「非認知能力」というものは、自分で小さな約束を決めて守ったり、ウソをついたり、ごまかさないようにしたりといったちょっとしたことでも筋肉のように鍛えられます。

子どもたちがこれからも自分の可能性を自覚し、伸ばしていってくれますように^^

夏期講習の理科では火山と岩石について学習。火山の模型をつくりました^^

できるとわかっていることはつまらない。「間違えずにできたね」ではなく「がんばったね」が考える習慣をつくる

小学生の頃、まちがい直しをさせられるのがイヤでした。

 

ふつうの公立の小学校のふつうのテスト問題。

 

それほど、むずかしいものではなく、授業をきちんと聞いていて、宿題をこなし、ていねいにやれば、いい点が取れるようなもの。
でも、根っからの「めんどくさがり」な僕は、早く解き終わったあとの余った時間、「もう一度はじめから見直し、間違っていないか確認する」……ようなことはせず、余白の大きなところを見つけては(なければ、机の上に)、絵を描いていたような子どもでした。

 

「一つもミスがないことを目指し、正確に解く」という考えがなく、「めんどくさいから早く終わらせる」ということしか考えていなかった結果、「おしい」、「もったいない」といわれるような点数を取ったことが多かった気がします。

 

不思議なことに、「インターネット」というものさえ存在していなかった僕の小学生時代から、今の子どもたちも、計算や漢字のドリル、プリント学習など、やっていることはあまり変わっていません。テストの後の「まちがい直し」も一緒です。

まちがえた問題のとなりに、赤ペンで、正しい答えを書く。

 

ていねいに。漢字のトメ、ハネもしっかりと。

 

てきとうに書こうものなら、もう一度、やり直し。

 

時には、まちがえたものを何度も練習するためのプリント付き。

 

この「まちがい直し」というものが、もう、本当にイヤだったのですが、僕がイヤだったのは、書くことがめんどくさかったから。

 

やることに「意味」を求めるタイプの子だったので、意図や、やり方を説明されず、ただ書く、ただ何度も解くということが、あまり意味や効果があるようなものには感じられず、やらされることが苦痛以外の何物でもありませんでした。

 

でも、今の子どもたちを見ていると、

 

「まちがえて、めんどくさいことが増えるのがイヤなのではなく、まちがえること自体がイヤなんだな」

 

と感じることがあります。

 

授業中など、自分のまちがった答えや考えたプロセスを残しておかず、それを消して、正しい答えを書いて◯をつけようとする。

 

宿題を出して、やってきてはいるのだけど、あきらかに答えを写している。
(普段どれぐらいの理解度か見ていて、まだまだ手を動かして、間違えて、たくさん考える練習をする時期のような子が、国語の説明文の記述問題で、模範解答としてのっているような完璧な答案を、考えた形跡や書き直した形跡なしに書けていたりするのを見ると、すごーく違和感を感じます。)

 

そういうのを見ると、今はできることが大切じゃないのだけどな……できているのを見ることが嬉しいのじゃないのだけどな……そんなに褒められたいのかな……と切ない気持ちになったりします。

 

「わからないときはわからないっていうんだよ。恥ずかしいことじゃないよ」

 

「×というのは、いままでのじぶんより上にチャレンジしたということだよ。どんどん間違えようね」

 

と、くり返し伝えているのにもかかわらず……なかなかこのクセというのは手強いものです。

 

それに、「まちがえないようなこと」をくり返していても、そこに成長はありません。

 

心理学者のキャロル・S・ドゥエックが行った実験にこんなものがあります。

 

数百人の子どもたちに難しい問題をやらせ、終わった後で、褒め言葉をかけました。

 

一方のグループには「よくできたわね」。もう一方のグループには「がんばったわね」。

 

最初のグループ分けをした時点では成績に差はなかったのですが、その褒めた後に違いが出てきました。

 

次に取り組む問題を選ばせると、「よくできたわね」のグループの子たちは新しい問題にチャレンジするのを避けました。「難しいもの、まちがえて自分の能力が疑われる可能性があるもの」を選ばなかったのです。

 

逆に、「がんばったわね」グループの子たちは、9割が新しい問題にチャレンジする方を選びました。

 

そして、その後、なかなか解けない問題に当たったときにも差が出ました。

 

「よくできたわね」グループの子は解けずに自分の頭が良くないと思うようになったのです。「がんばったわね」グループの子は、自分の頭が悪いとは思わず、ただ努力が足りないと思っただけなのに対し。

 

さらに困ったことは続きます。

 

「よくできたわね」グループの子たちは、一度、難しい問題を経験した後、もう一度、できるレベルのものをやったところ、自分の能力に自信が持てなくなり、「最初よりも成績が落ちてしまった」のです。「がんばったわね」グループの子は難しい問題にチャレンジし続けたことでスキルに磨きがかかり、成績が上がりました。

 

今までより、難しいことにチャレンジするとき、できないのは当たり前。それが、自分の夢だったり、どうしても叶えたいものだったりすると、たくさん失敗するのが当然です。

 

⚪︎×勉強というのは、○は良いこと、×は悪いこと。どちらか。

 

◯だと褒められ、×だとダメ出しされる。それだと、◯だけを求め、「まちがえないこと」と目的にしてしまうようになってしまいます。

 

褒めるということは大事ですが、褒め方も大事。

 

「できたことをほめる」ということは、イコール、「できていないことはダメ」というメッセージにもなり得ます。

 

子どもは、その裏のメッセージに敏感です。

 

「そんなにたくさんのことを知っているなんて、えらいね!」

 

という言葉には「知らないことはよくないこと」という裏のメッセージが、

 

「ひとつも間違えなくて、すごい!」

 

という言葉には、「私はあなたがまちがえなかったことをいいと思っている」という裏のメッセージが込められています。

 

子どもは、その裏のメッセージを感じ取り、うちの親や先生はそこを評価する人なのだと思います。そして、知らないことを言わず、まちがえないようにします。

 

でも、まちがえないようなことをしていては、力はつかないし、何より、退屈なのですね。

 

心理学者のチクセントミハイは、

 

「すばらしい人生、幸福な人生というのは、フローによって、自分がやっていることに没頭することによってつくられる」といいます。

 

「できるかどうか不安」というレベルにチャレンジしているときに、人は「フロー」という状態になりやすくなるのですが、フロー体験をすることで、私たちは「自分なんてどうでもいい」ではなく、自分の人生にたくさんの関心を持つようになり、「無力感」を感じず、自分で自分の人生をコントロールしているという感覚を持ち、「自分はダメだ」ではなく、自分には物事を達成できる力があると感じられるようになります。

 

そして、フロー体験をたくさん経験した子どもたちは、10代の間、自分の才能を活かす活動に熱心に取り組む傾向があるそう。

 

先日、5年生の男の子たちがこんなことをいっていました。

 

「宿題やってみたけど、わからんかったわ……途中までは書いたんやけど……もうちょっと、簡単なんにして!」

 

「ほんま難しかったわ〜RAKUTOでやる問題で簡単な問題って、1問もないよな〜」

 

そんな中、6年生の男の子はこんなことを。

 

「なあ、今日は難しい入試問題とかやる!?」

 

難しいのだけど、その難しさや、もうちょっとでわかりそうという感覚、解けたときの達成感がいいのだそう。

 

「やればできるとわかっていることはつまらない」

 

昔、僕が尊敬する方がいっていた言葉ですが、子どもたちにも、これからの長い人生、こんな風になりたい! こんなことしたい! と希望を持ち、難しいこと、大変なことに出会った時、

 

「むずかしいな〜……これは……やりがいがあるな〜」

 

と感じてもらえるようになってもらえればいいなと思います。