読解力の前に大切なこと

 先日、保護者さまから、

「子どもが言葉の意味をよく尋ねてくるようになりました」

というメールをいただきました。

ホップクラスでたくさんの言葉や知識にふれ、

ステップクラスでは意識的に、さらに言葉を深く、つなげて覚えていく練習をしていきますが、

言葉に関する興味、関心、感覚が磨かれていっているのを感じ、うれしかったです。

 「読解力をつけたい」

そうおっしゃってRAKUTOに来てくださる方も多いですが、「読む」の前に、まずは「言葉」があります。

シカゴ大学の教授であったM.J.アドラーの『本を読む本』という読書に関する名著がありますが、

その中で、アドラーは読書の第一レベルは「単語の識別」と言っています。

単語がわからないと、「その文は何を述べているのか」がわかりません。

読めないという時、そもそも、その文に出てくる言葉の意味がわかっていないことが多いのですね。

 「まずは言葉」

好奇心の時期であり、いろんなことを記憶しやすいホップ期、

論理的に考えられ、有機的に覚えられるようになっていくステップ期に、たくさんの言葉にふれていくことが大事です。

 「音読が苦手」という子がいると、眼球運動に何か問題がるのでは? と思う方もいらっしゃいますが、「読む単語が難しいから注意がそれてしまう」ということが多いのがわかっています。

知らない単語だらけの英文を見たら、読む気がなくなってしまうのといっしょです(笑)

 

 「読解力がない」

そう悩まれている方も多いかと思いますが、まずはたくさんの言葉に、平面的にではなく、立体的に、視覚的に、何度もくり返すことができる形でふれていってくださいね^^

悟空さんがいらしてくれました
ベジータさんも

昔の良いもの、悪いもの

こんにちは。

新留です。

保護者さまと、もう昔やっていたことと、今必要な勉強ってちがいますよねというお話になることがあります。

RAKUTOに子どもを通わせてくださっている方は、自分で会社をされていたり、自営でされていたり、ちょっと珍しいお仕事をされている方が多かったりするのですが、

多くの方が、自分たちが受けてきた教育と、これから必要な教育はちがうと感じていらっしゃるなと思います。

もちろん、現行の中学入試や入試制度に対して勉強をどうしたらいいのか、と悩まれる方もいらっしゃるのですが、

難関校ほど、これは考えるいい問題だなというものが多いなと感じますし、きちんと考える勉強をやっていれば対応できたり、そこに向けての勉強がムダにならない、将来につながっていると感じることも多いです。

「賢さ」の定義が変わっているのだろうなと感じます。

昔の賢さは「IQ」のようなもの。

「IQ」といえば、「賢さ」のような感じがしますが、実は「知っていること」のようなもので、

「情報自体は探せば見つかる21世紀の将来の成功を測る物差しとしては最適ではない」とはっきり言っている心理学者などもいるのですね。

逆に、21世紀型の賢さは「知識を使って何かを生み出す」、「ワーキングメモリ」のようなもの。

その賢さは学力と関係があるのか、と感じられるかもしれませんが、

ワーキングメモリの強さにより成績を95%の確率で予測できるという研究もあります。

ワーキングメモリを鍛えるためには、

昔みたいな睡眠時間を使って勉強ではなく、十分な(理想は10〜11時間の)睡眠、

勉強一辺倒ではなく、積極的な運動、

小さい時からドリルではなく、パズル、

一つひとつ積み上げていくのではなく、ゴールから逆算、

などが大切になってきます。

(「毎日の読み聞かせや音読、読書」は昔から言われていて、今でもいいとわかっている方法です)

ダルビッシュ有選手や大谷翔平選手など、スポーツの世界の最前線でやられている方がやっていることを研究していると、おもしろいことに学習や勉強にもつながることがたくさん見つかるのですが(そういうのが趣味なのです)、

これからも、世の中はどう変わっていって、そのためにどうしていったらいいのか研究し、保護者さまと共有していきたいなと思います^^

何回見てもいいな〜と思うある子の宿題^^

どれだけ早くよりも、どれだけ〇〇か

こんにちは。

新留です。

昨日はイレギュラーがあり、普段担当していないクラスの子たちの授業をすることになりました。

毎週、話をしたり、いっしょに遊んだりはしていますが、授業に入って直接見てみると、

「こういう考え方をするんだ。おもしろいな〜」

「なるほど、この子は今こういう状態なんだな」

「ここはこうしていった方がもっとよくなるだろうな」

と感じることがたくさんあり、すごく楽しかったです^^

高学年の授業の子たちの授業やテストをしていると、よくあるのが、結果だけを気にしてしまうこと。

でも、結果は良くても、やり方が間違っていれば、

それは「たまたま」なので、一時的な自信がつくなど以外は、ほとんど意味はないのですよね。

なので、必ず、授業中に答えてもらう時でも、テストの際にも、

どういう考え方、やり方でそこにたどり着いたのかを言語化してもらうようにしています。

それができていれば、大丈夫。

あとはできるようになるまで練習するだけ。

でも、言語化ができないのであれば、練習の量というのは、あまり意味がありません。

「どれだけ速くできるかではなく、どれだけ正確にできるか」

まずは正しいやり方を見せて、マネをしてもらう。

安定しないとき、細かく一つひとつのプロセスを正確にできるかチェックする。

中学年ぐらいからは、ぜひ意識してやってみてくださいね。

においの原因はこれだったのか…

お盆休みのお知らせ

この度はホームページをご覧いただきありがとうございます。

RAKUTO箕面校は、

8月9日(火)から8月16日(火)まで、

お盆休みとなっております。

(夏期講習は行っております)

その間、お電話など通じず、

また、いただいたメールの返信なども8月17日(水)以降となりますが、

ご了承くださいますようお願い申しあげます。

なお、休み期間中でも、体験授業のお申し込みなどは可能となっております。「お問い合わせフォーム」よりお申し込みください。

RAKUTO箕面校

腰が痛くなりました。

こんにちは。

新留です。

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新しいクラス、カリキュラムが2月からスタートします。

満席のクラスも出ているため、興味のある方はお早めにお申し込みくださいね。

体験授業のお申し込みはこちらから。

https://www.rakuto-minoh.com/contact/

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私立中学の受験は先週の土曜、日曜が試験日、

その翌日、日曜、月曜が合格発表でした。

試験前日の夜、当日の試験後などに、保護者さまから子どもたちの様子がどうなのかのご連絡などをいただき、

土曜日の夜は、僕も、普段は全くそんなことはないのですが眠りも浅く、気持ちも落ち着かないまま日曜の朝を迎えました。

最初のご報告は思ってもみなかった時間に。

大きなチャレンジをした子の大金星の連絡でした。

ほんとに献身的に子どもを支えていらっしゃったお母さまと電話口で見事な合格に大泣きし、泣きすぎてヘロヘロになり、なぜか腰まで痛くなる始末。

安定の国語で8割以上を取ってリードし、算数も悪くない点数、理科は予想が的中し本番で過去最高の記録を出し、なんと、結果だけ見れば、余裕の合格でした。

その後も、予定通りに完全合格をした子、

直前に火がつき、見事に最後上げていった子など、

うれしい報告が続いたのですが、残念ながら、全員が第一志望に合格とはいきませんでした。

毎年、全員が合格できるように、とは思いますが、悔しい思いをすることもあります。

残念ながら受験で第一志望に行けなかった子も、

いい経験だった、やってよかったと言ってくれたり、

卒業後に連絡をくれて、遊びにも来てくれたりで、

あのとき、合格はできなかったけれど、今すごくがんばっているという子や、その経験をバネに大きく成長している子、楽しく過ごしている子などを聞きますが、

それでも、あの時、合格させてあげたかったなというのはずっと残っていて、同じことを繰り返したくないというのが、翌年への原動力になったりします。

保護者さまのなかでも、いろんな気持ちの方がいらっしゃると思いますが、

今週も国立や公立の中高一貫校の受験もあります。

最後まで、油断せず、諦めず、やっていきたいですね。

生徒に結婚をすすめられる男

こんにちは。

新留です。

つい昨日のこと。

高学年クラスのテスト終わりの切り替えの時間中、

子どもたちから、

「先生〜めっちゃストレスたまる〜! 学校の先生が理不尽すぎる!」

「なんか勉強に集中できない〜どうしたらいい?」

と質問されました。

休憩時間が先生の都合で毎回ほとんどなくなってしまっているのに、それを指摘したら〇〇くんがと他人のせいにするなど……子どもたちも大人顔負けで大変ですね(笑)

悩みごとや気になることがあったらなかなか集中することもできないし、

冷静にいまは何をしたらいいのかと優先順位をつけることもできず、勉強を思った通りスムーズに進めることができません。

大人とちがって、

「ちょっとストレスがたまってるからカフェでケーキでも食べちゃおう!」とか、

「がんばったご褒美にマッサージでも行っちゃおう!」ということもできないので、

大人側が観察して、ちょっと様子がおかしいなと思ったら聞いてあげたり、対処してあげたりすることも必要だったりします。

どうもうまくいかないな……というときって、自分では気づいていないけれど、かなり充電がなくなっているのですね。

毎日、スマホを充電するように、体だけでなく、心のメンテナンスも必要です。

そして、その方法って、人によって様々です。

僕も、つい先日、平日ショッピングモールが開くようになったことで「いつぶりだろう?」というくらいひさしぶりに好きな場所に買い物に行ったのですが、

わずか1時間ほどの滞在だったにも関わらず、

「すごい心が豊かな気分になった……!!」

と感じられるくらい、心がすっきりし、満たされて、手には大きな紙袋が2つありました。

(本屋さんと茅乃舎さんは心を豊かにしてくれます)

僕にとっては、海を見ることや、きれいなものを見て買い物することが充電方法だったりするのですね。

ストレスの解消方法は様々で、

自分では気づいていないけど、ストレスはたまっていたりするので自分なりの解消方法を見つけておくって大事です。

子どもたちには「充分な睡眠」(5〜12歳だと理想は10時間、最低でも8時間)をとるようには常に言っていますが、その他には、歩くといいよという話をしました。

街中だと効果はそれほどないのですが、自然のなかを歩くと、充電されます。

以前、受験生のお母さまが、

「受験勉強が始まってから運動不足になるし、ストレスもたまるし、体力つけるためにも娘といっしょに毎日散歩するようにしたらコミュニケーションの時間にもなってすごくよかった」

とおっしゃっていましたが、すごくいい方法だなと思います。

歩いているときって後ろ向きになるのが難しいのですよね。

万歩計などつけて歩くと、その数字もまたゲーム感覚でおもしろかったりするのでいいですね。

受験生になったりでやることは多いけれど、たまった体や心のメンテナンスをする機会は少なくなっていく、

特にこのコロナの状況では外に出る機会や、旅行などに行ける機会は少なくなっているという、なかなかしんどい状況ですが、ストレスを解消する、自分を充電するための自分なりの形を見つけてもらえればなと思います。

その後、さらに6年生の女の子から質問が。

👩「先生って悩みとかないの?」

👨「うーん……特にないかも……」

👩「えっ、ほんとに!?」

👨「もちろん、考えることや、やることは毎日たくさんあるけど悩みってのはないかも〜」

👩「ないの!? じゃあ。考えなくちゃいけないことがあるときはどうするの?」

👨「仕事終わりに1時間くらい歩いて帰るかな〜。そしたら大体解決しているしスッキリしてるよね」

👩「先生、早く結婚した方がいいよ……学校の先生紹介するよ……」

と言われました。

なぜ……?

悩みそうです。

やる気より「その気」

こんにちは。新留です。

先日の保護者さまとの面談でのこと。

少し前までは、

「やる気が出ない〜」

「めんどくさい〜」

とよく言っていた子なのですが最近はすごくいい感じで、表情も明るく、波に乗れているなと感じていたので、

保護者さまと「いい感じですね」と話していると、

この頃は自分から机に向かい、毎日2時間は勉強をしているとのこと。

いい意味で基準が上がり、自分にきびしくなってきているようでした。

「先生にやる気なんてなくて、やっているうちに出てくるものって言われた〜」

と家で言っていたらしく、

実際にやってみて、

「ほんとやったわ」

とお母さまに伝えていたそう。

授業中、勉強以外の話をすることもありますが、言ったことを素直に聞いてくれ、やって実感してくれたんだなとうれしくなりました^ ^

何かをやりたいと思っても、その日の体調や気分ってあります。

好きなことでも、やりたくない日や気分が乗らない日もあるんですよね。

僕もよーくあります(笑)

でも、どこの中学校に行きたい、どこでこんなことをしたいってなったとき、

レベルの高いところや人気のあるところに行こうと思うと、それだけ競争率も高く、まわりのレベルが高くなり、求められることが多くなります。

その中で選ばれるためには、必然的にやらなくてはいけないことも増えていきます。

どうやって、いろんな波がある中でも、やり続けられるかが大切なんですよね。

もちろん、受験が誰かが決めたからではなく、「自分ごと」であることは大前提。

自分で選んだものじゃないと、持続的なやりたいなんて気持ちにはなりません。

でも、自分で選んだものでも、やっぱり波はあるもの。

その際、

難しいことほど、やることを具体的に「いつ」「どこで」やるか決めることが大切で、

簡単なことは、なぜそれをやるのか、やった先にどんな報酬があるのかを考えるとよかったりします。

そして、努力を継続するとき、ドーパミンが鍵を握りますが、うまく働いてもらうためには、やる気ではなく「その気」、

僕はあそこに行くんだ、という思い込み、あそこに行く人だったら今こうするよね、という自覚や覚悟も大切だったりします。

ひとつ大きな波を乗り越えて、レベルが一段階上がった感じがある子たち、これからの成長がまた楽しみです。

僕自身、行動力がない方で、よく先生に「行動しな変わらないよ〜」と言われていたので、その子の行動力を見習わないとです(笑)

町屋でひとりご飯

先日、高学年の国語の授業のときに滋賀大附属中(滋賀大学教育学部付属中学校)の入試問題を読んでいた時のこと。

本文のなかに「町屋」や「つし二階」の話が出てきたので、知らない単語やあやしい単語を調べながらみんなで読んでいました。

「お〜すごい」

「二階の高い、低いでデコボコになってるよね」

「こんなに低いんやったら一階でいいやん」

などと話しつつ、

「町屋ってこういうとこ。見たことある?」

「あ〜あるある!京都とかで!」

「そうそう、京都とかに多いよね。そういえばさ……」

と町屋の話に。

ちょうどその前の休日に初詣で京都の下鴨神社に行き、その後、町屋を改造したお店で夜ご飯を食べたのですが、お店を見せながら、

「こういうところで、いまは町屋のなかをお店にしているところも多いんだよ」

といったところ、

「めっちゃおしゃれ!」

「えっ、だれと行ったん?」

「それは言えないやん?」

「ひとりに決まってるやん」

「そりゃ、そうか〜」

と、新年早々、京都のおしゃれな町屋でひとり寂しく夜ご飯を食べる男認定をされてしまいました。

ええ。。。

2021年も例年通りの幕開けです。。。

下鴨神社で引いたおみくじは「吉」、

「願いごと 何にごともかなうが努力がかんじん」

「待人 来る」

「お産 安産する」

と書かれていたのですが。。。

さて、2021年の運命はいかに、という感じですが、読解の際、語彙を正確につかんでいくということは大切です。

面談の際、

「うちの子、読解力がないんです」

という相談を受けることが多いですが、原因を探っていくと、まず、語彙レベルでつまずいていることがけっこうあります。

英語で「単語」を知らないのに、「文」は読めないですよね。

どうやら、日本語であるということと、「読み方はわかる」ということで、

「音として読める」ということと、「意味がわかる」ということを勘違いしていたりするのです。

曇ったメガネで外ははっきり見えないのと同じで(マスクをしているとメガネものすごく曇りますよね)、はっきりしない単語がいっぱいでは、文章は読めないし、少しは読めても、文章の理解度、解像度が低いのです(なので、問題も解けない)。

語彙力というのは語彙の「量」(たくさん知っていること)もですが、「質」(その言葉を正確に理解していること)も大事です。

そして、「理解語彙」と「使用語彙」もちがいます。

子どもの読解力がないという時、まずは語彙力は大丈夫なのかな?というところからチェックしていってくださいね。

2021年、子どもたちの読解力がメキメキ育っていきますように。

そして、おみくじにあったように願いごとが何ごともかないますように。

才能心理学協会 北端康良先生との対談動画が公開されました

こんにちは。
RAKUTO箕面校です。

先日、才能心理学協会理事の北端康良先生と箕面校の新留が「子どもの考える力や読解力を鍛えるにはどうすればいいのか?」というテーマで対談をしました。

北端康良さんといえば、かつて日本でも有数のカウンセリング会社のトレーナー(カウンセラーを育てる先生)であり300人以上のカウンセラーを輩出、

現在は才能心理学協会の理事長として、『自分の秘密 才能を自分で見つける方法』『才能が9割 3つの質問であなたは目覚める』など著書もたくさん出されたり、プログラミング教室の運営もされていたりと大活躍の才能開発の専門家。

才能心理学協会についてはこちらから
新留は普段、写真などもあまり得意ではないなか、「動画…!?」とすこし躊躇いながらも台本なしの一本勝負に臨んでいました。

当日は北端先生の巧みなリードもあり、話し始めるとあっという間に40分も時間がたっていました。

動画が届き早速チェック。

「自分ってこんな人なんだ……と深夜にイヤな汗をかいた」

といっていましたが、幼稚園や小学生のお子さまのいるご家庭の参考になる内容かなと思ったのでご紹介します。

よかったら参考にしてみてくださいね。
お子さまの論理的思考力や読解力が少しでも上がるきっかけになりますように^ ^

4つの動画に分けてくださったようですが、何か参考になることがうれしいです。
ではでは、2月もいい1ヶ月になりますように。
①子どもの考える力を伸ばす秘訣【画像検索】
②頭のいい子の記憶力の秘密【ワーキングメモリ】
③子どもの考える力を伸ばす本3冊【9歳までに地頭を鍛える37の秘訣】
④子どもの脳を3倍速で育てる方法【秘訣は3つ】

子どもも大人も!時間と心の余裕を増やすための時間割活用術

子どもたちから「忙しい〜」「遊ぶ時間がない〜」という声を聞きます。
 
保護者さまとお話していても、「いまの子たちは忙しいですよね〜」なんて話になることもありますが、学校の拘束時間が長くなったり、塾や習い事をいくつも掛け持ちしている子たちを見ていると、ほんとに大変だなと思います。
 
21時や22時頃に駅で塾のかばんを背負った小学生を見ることがありますが、朝8時から16時まで学校、その後、21時、22時頃まで塾という子たちを見ていると、大人より長時間労働だし、まだ体も小さく体力的にもきつく、大人とちがい自由裁量でつかえる時間やお金も少ない分、よりハードできびしいだろうな…とおもいます。
 
もちろん、保護者さんも忙しい。毎日の家事や塾や習い事の送迎、さらには働いている方もいたりと、「家事は女性がやるもの」「家事をしない(外注する)なんてもってのほか」なんて意識でいると、忙殺されてしまいます。
 
子どもにとって大変な時代だな…と思いつつ、大人にとってもなかなかハードな世の中。
 
先日の日本経済新聞電子版に書かれていましたが、日本の出生数が急減しているそうです。このままいくと2019年は90万人を割る可能性が高いのだそう。2016年に100万人を割ってからわずか3年で90万人レベルと、そのペースに驚きます。
 
まずは日本自体がハードモードになっているということを踏まえた上で、戦略を立てていかなくてはいけないなと感じています。
 
昭和とは完全にちがう状況のなか、できるだけ効率的に時間をつかい、意識的に豊かさを感じられる時間を増やしていきたいものです。
 
「時間がない」といっている子たちを見て、話を聞いていると、「たしかに、それは詰まりすぎ。きびしい…」という子もたまにいますが、どちらかというと、「時間の余裕がない」「時間の余裕を感じられていない」というのが多いなと思います。
 
そして、スマホの通信速度が落ちたときのように、脳の処理能力が落ちている状態になっている、それも慢性的なものになっているのだろうなと感じたりする子もいます。
 
「時間がない…」
「焦りや不安」
「脳の処理能力が落ちる」
「生産性が下がる」
「ますます時間がなくなる」
 
というループ。
 
このループにはまると、なかなか自力で抜け出すのは困難だし、精神論に走って自分を追い詰めてしまうと大変なので、意識的に行動を変えていきたいものです。
 
ということで、今回は「時間と心の余裕をつくり、生産性を上げるためにできること」として書いていきたいと思います。
 
時間と心の余裕をつくるためにやってほしいこと。
 
それは「時間割をつくる」です。
 
学校で時間割があると、「明日は朝から体育があるな」など、自動的に体と心の準備ができるように、できるだけ、自分が楽しくて、安定して成果を出せて、遊びも勉強も満喫できるような時間割をつくっていきます。
 
そのためには、いまの時間の使い方をチェックし、「理想の状態になるための時間の使い方」を決め、行動を変えていくことが必要。
 
「生産性」というものは、「アウトプット÷インプット」。
 
「アウトプット」、どれだけの成果物を出し、そのために、「インプット」、どれだけの時間やお金を費やしたかによって決まります。
少ない時間やお金で、たくさんの成果を出すことができれば、それは生産性が高いということになります。バランスを見ながら、最適化していければいいですね。
 
ここで大事なのは、時間をたくさんかければ、どんどん生産性というのは下がるということ。
「子どもがたくさん勉強をするようになって、成績が伸びました!」
これはたしかにすばらしいのですが、勉強時間を増やせば、成果が増えるのは、ある程度、当たり前といえば当たり前で、それは「生産性が上がった」ということではないのですね。
そして、勉強時間を増やすというのは、いちばん危険な考え方でもあります。それは、時間というのは、かけようと思えば、食事の時間を減らしたり、遊ぶ時間を減らしたり、睡眠時間を減らしたりすれば、簡単に増やすことができるから。
進学塾だと、すごい量の課題を出されたりしますが、素直な子や、まじめな親御さんだと、言われたら全部をやらないといけないと思ったり、全部を終わらせようとし、体力や精神の限界がくるまで「がんばる」でしょう。
でも、それでは、子どもや親御さんの心や体に影響が出てしまい、最悪な時には、親子関係もこわれてしまうかもしれません。
 
そうならないよう、投入する時間は限度を決め、できる限り増やさないようにすることが大切です。
 
つねに、「時間は短く」「成果物は大きく」を軸に考えていくことです。
そのためには、当たり前ですが、必要なことを見極め、必要なことに力を注ぐこと。
 
そして、「すべてはできない」という、いい意味での割り切りを持つこと。
「やっておいたほうがいい」ということを考え出すといくらでも量は増えていくので、「何時には課題が残っていても終える」など、時間的な制約などを決めておきましょう。
 
それでは、実際に「時間割づくり」に入っていきますが、具体的には3つのステップを踏んでいきます。
 
①自分の時間の使い方を知る
 
時間と心の余裕をつくるにも、生産性を上げるにも、まずは、「いまの自分の時間の使い方を知ること」です。
 
当たり前なのですが、時間は誰にとっても「24時間」なのですね。
学生時代、本当に賢いなと感じる子は、どちらかというと、のほほんとしていたりする子でした。
僕の数倍(いや、何十倍?)も賢かったですが、彼らが、僕の数倍勉強していたわけではないのですね。勉強もクラブも、あまつさえは、恋愛などもしているという「リア充」だったのです。
 
社会人でいうと、仕事で成果を出し、仕事終わりや休日は遊びを満喫し、家族との関係もうまくいっているというような感じ。実際、よくしていただいている経営者の方たちを見ていると、僕の軽く数十倍の成果を出されていて、よく旅行に行っていたりなど時間と心の余裕を持たれ、家族とも仲良く幸せに暮らされていますが、その方たちが、僕の数十倍働いているわけではないんですよね。
 
「時間の使い方」がちがうだけなのです。(毎回、そういう方にお会いするたびに質問させてもらいますが、「時間の使い方なだけだよ〜」といわれます)
 
「時間」というのは、形のないものですが、形のないもの、見えないものは変えようがありません。
ですので、最初にしなくてはいけないことは、自分の今の時間の使い方はどうなっているんだということを「見える化」すること。
 
「家計簿」をつけるようなもので、「なんで月末にこんなにお金が減っているんだろ…?」と思っても、「支出」の記録がないと、どこの予算がオーバーしていたのかわからないですし、来月、どうしたらいいのかということも計画できません。また、わからないと「来月は節約しよう!」という精神論になってしまいます。
まずは、手帳や表などを用意し、何に、どれくらい時間を使っているのか、「時間の家計簿」をつけてみましょう。
 
②固定時間をうめる
 
今の時間の使い方がわかったら、次は、「固定されている時間」や「睡眠時間」を埋めていきます。
 
毎月かかる「家賃」や「食費」、「電気代」などの「固定費」があるように、時間にも、「固定のもの」があります。
子どもだと、「学校に行っている時間」や「必要な睡眠時間」があるので、それらを埋めていきます。
 
ここで大事なのは、脳のためにも、「睡眠時間」は絶対に削らないようにすること。子どもの脳と体の成長のために、「最低でも8時間」は欲しいところです。
 
ノースフロリダ大学心理学教授のトレーシー・アロウェイによると、ワーキングメモリー(頭がいい子はこれが強いです)を発達させるには、5〜12歳の子どもでは「10〜11時間」の睡眠時間が必要だそう。なかなか、そこまではきびしいかと思いますが、「8時間は厳守」の気持ちで設定してくださいね。
 
そして、この時点では、「習い事」などの時間は含めないようにしてください。それをやってしまうと、「これは必要」などの思考が働きます。これらは、「ほしい」という感情とはちがうので、これを先にやってしまうと、今までの時間の使い方から変えていくことができません。
 
最低限必要な生活費があるように、最低限「かかる時間」を埋めていきましょう。
 
③理想の時間の使い方を決める
 
いよいよ最後です。
最後にやることは、「子どもがどうなりたいのか」、「家族として、どんな暮らしをしていきたいのか」に合わせ、残っている時間を割り振っていくこと。
 
理想の生活への「旅行のプラン」を練るような楽しい時間です。
 
旅行でいうと、移動時間や待ち時間、ホテルでゆっくりする時間や朝食や夕食をとる時間を除いた残っている時間を、「自分のやりたいこと」や「なりたい気分」に合わせ埋めていきます。「遊びの時間」や「ぼーっとする時間」というのも含めて計画していきましょう。
 
「○○中学に合格する!」ということだったら、そのために必要な時間を入れていきます。
 
おいしいものを食べることが好きなら、おいしい店がある場所をたくさんまわれるように計画を立てる。買い物が好きなら、その土地ならではのお店や、ショッピングモールをまわれるように計画を立てる。
 
そんな風に、「子どもや家族がなりたいもの」に合わせた「時間割」をつくっていきます。
 
その際、作り方にもコツがあります。
 
それは、「子どもや自分のタイプ」、「エネルギー」、「処理能力」を考慮してつくること。
 
「朝型や夜型などのクロノタイプ」
 
「ショートスリーパーやロングスリーパー」
 
「自分の部屋の方が集中できるか、カフェや図書館などの公共の場所の方が集中できるのか」
 
など、その人固有のタイプ、自分の「調子のいい時間帯」というのがあります。
 
子どもだと、学校から帰ってきた後は疲れているので、帰宅後すぐに勉強をするなどは、なかなか厳しいです。スマホの充電が残り20%、電波が悪い、ようなもので、処理能力もかなり落ちています。
 
「栄養補給」や、ぼーっとする、15分ほど目を閉じる(仮眠ができれば理想ですが、夕方になっていると睡眠に影響するのできびしいところです)などの時間を組み込めるといいですね。
 
また、「夜型」の僕にとっては「朝活」というのは地獄なように、その子にとってベストな時間と場所というのがあります。それを考慮し、「いつ、どこで、どのように、なにをするか」の具体的な計画を決めます。
 
行動科学では、この具体的な計画のことを「実行意図」というのですが、人間というのは、心理的に、一度決めたことは、守りやすくなります。
 
また、人間は「できるだけ考えない」ようにできていて、考えることはたくさんのエネルギーを使います。ですので、あらかじめ決めておくことで、「脳のエネルギーのムダな消費」を防ぐようにします。
 
先延ばしとモチベーション研究の第一人者、ピアーズ・スティール教授は、
エネルギーを補充し、賢く使うためには、
 
・午前中や、お昼前後の時間に、難しい課題を行う
 
・空腹にならないようにする
 
・規則正しい睡眠をとる。そのため、就寝前の行動を決めておき、同じ時間にベッドに入る
 
・週に何日かは身体を動かす
 
ことなどが大事といいます(運動の効果についてはまた別の機会に)。
 
面談などではこれらを行い、バランスを見ながらアドバイスさせてもらっていますが、そうでない方も、時間の使い方で困っているなという方は、これらのことを踏まえ、ぜひ、一度つくってみてくださいね。
 
そして、時間割は目標や時期によってどんどん変化するものです。やってみた結果を考慮しながら、何度もつくりかえていってくださいね。
 
子どもが、そして、大人も時間の使い方がうまくなり、たくさんの充実したひとり時間や家族時間が過ごせるようになりますように!